【2018有報】シャープ決算を分析したら、超グローバル企業に変身してた。

ソロバン付き電卓を発売するほど目の付け所が面白すぎる家電メーカー、シャープが好きで株主でもあるカタオカ(@peterminced)です!

 

最近は東芝のPC事業を買収したり、ペット市場に参入したりと活発なシャープ。

一方優先株買い戻しのための増資(希釈化イヤーッ)を発表した影響で株価はダダ下がり。

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株主として、果たして今後の成長を信じホールドし続けても良いのかヤキモキさせられます。

 

そこで6/21に公開された2018年度の有価証券報告書を分析し、シャープの今後の成長性について考えてみました。

 

売上は急速に回復中

2007年以降の連結売上高推移をグラフ化してみました。

2018年度は昨年の2017年最悪期を脱し、前年比+18.3%の 2兆4,273億円。すごい急回復です。

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(出典:シャープ 2018年(平成30年)3月期 有価証券報告書

ただ過去の売上高から鑑みると、まだ全盛期には及びません。リーマンショック後の2009年度売上にもまだ届いていない状況です。

 

中国マーケットが超成長していた!

つづいて売上高の内訳を見てみましょう。

日本国内向けは全盛期の2011年に比べて半分以下になっており、かつ昨年と同水準と伸び悩んでいます。

しかし中国向けが前年比 +24.1%と驚異的に伸び、過去最高額に!

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(出典:シャープ 2018年(平成30年)3月期 有価証券報告書

 

親会社ホンハイの中国販売ネットワークは凄ぇぇぇぇ!今後もますます成長が期待できるでしょう。

また、一度は撤退した北米市場への再参入、ASEANでの拡販が順調に行けば、上記グラグの緑部分についてもまだ成長余地があります。

 

 

海外売上高70%のグローバル企業に変身してた!

では海外売上高は全体のどれだけ占めてるのか?まとめたのが下記グラフ。

 

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(出典:シャープ 2018年(平成30年)3月期 有価証券報告書

 

ホンハイ傘下に入ったことにより急速にグローバル化が進み、2018年の海外売上高比率は過去最高の 73% に。

ちなみに計画によると、2019年は海外売上高比率はを80%以上にするそうです。

 

死の淵に瀕していたシャープは、いつのまにか超グローバル企業として生まれ変わっていました。ヒェー!

 

ひとことケチをつけるとすれば、国内市場もテコ入れしてほしいですね。スマホや掃除機など家電事業は好調のイメージだったので前年比ほとんど伸びてないのは意外。2011年は1.5兆円規模もあったことを鑑みると、まだ戻せる余地はあります。

 

下がるAPPLEへの依存度

シャープといえば液晶。そして液晶といえばスマホなわけですが、世界最大級のスマートフォンメーカーAPPLEにものすごい量の中古型液晶パネルを供給しています。

下記はAPPLE向け液晶パネルの販売額推移。2012年度は1100億程度だったものが、2016年は6,700億円に!

全売上高の1/4以上をAPPLEに依存する状況でした。

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(出典:シャープ 2018年(平成30年)3月期 有価証券報告書

しかし2017年以降は徐々に依存度が低下。APPLE向けの売上に頼らなくても成り立つ体制が構築されつつあることが伺えます。

 

 

液晶パネルの売価ダウンで悪化する原価率

売上は回復の余地がまだまだありそうですが、肝心の収益性についてはどうでしょう?

有価証券報告書に記載されていた損益計算書から売上原価率を算出したものが下記グラフ。

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(出典:シャープ 2018年(平成30年)3月期 有価証券報告書

 

ソニーやパナソニックの売上原価率が70%台前半であることを鑑みると、シャープはまだまだ高いと去年のレポでは指摘させて頂きましたが、2018年度は81.3%→83.3%に悪化しています。

研究開発費を除いても、80%です。

 

 

これはコストダウンをサボっているというよりも、売価が伸び悩んでいるため。

下記は液晶パネルの月次価格推移ですが、1年前と比較して急落しています。

例えば40型フルHDを見てみると、139ドル→70ドル とほぼ半減。ここまでくると、よく利益確保できてるなーと感心します。 

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(出典:Flat Panel TV and Display World-2

 

この大幅な下落は、中国メーカーが量産しまくって需要過多になっているから。このトレンドを打破するためには、普通の液晶パネルとは異なるものを出さなければいけません。

 

新市場を開拓すると期待される8Kディスプレイ

この下落トレンドの中、期待されているのがシャープが全力推進中の HDの16倍の解像度を持つ8Kディスプレイ。2018年12月よりNHKから8K放送が開始されます。

 

私も8kアクオスレビュー会シーテック、インタービー(放送機器の展示会)、アンテナ会社の株主総会をまわってそのマーケット感を調べていますが、一般消費者向けよりも医療や建築、製造業の現場で大きく活躍する可能性を感じています。

中国のテレビ市場は伸び悩んでいるらしいので、産業用途の市場をうまく開拓できると、収益率も大きく改善するでしょう。

 

 

成長を支える人材は急回復中

では会社を支える人材についてはどうでしょうか?

経営危機時は人材の流出が止まらなかったシャープですが、2017年に底を打った後、約5,000人増加して4.7万人に。

買収し子会社化したことも要因ですが、2018年4月の新卒は前年比約2倍の365人が入社。回復を裏付けています。

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(出典:シャープ 2018年(平成30年)3月期 有価証券報告書

 

加えて東芝のPC事業も買収。2,200人の人材を確保したことで約5万人に。今後も人材獲得に注力する方針ですので、さらに増加するでしょう。

 

 

シャープ製Dynabookが楽しみ

PCの好きの私としては個人的にシャープ製Dynabookがどんなものが出てくるのか楽しみ。

ちなみに日経新聞の2017年時取材時写真によると、戴社長のガジェットは

  • スマホ→iPhone
  • PC→VAIO

であることが伺えます。VAIO向けにも液晶パネルを供給してるんですかね。

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(出典:日経新聞 2017-08-10 戴社長インタビュー記事

 

かくいう私もVAIO S13ユーザーなのですが、これを上回る尖ったカッコイイPC(X68000級)が出てくるのか?期待してます!

 

現在の理論株価は2,108~3,318円

2018年シャープの1株あたりの純利益は140.5円。PERを一般的な値 15倍とすると

現在ベースの理論株価は140.5×15=2,108円。

 

中期計画の純利益1,105億円@2020が達成された場合、1株株あたりの純利益は221.2円。

将来の成長を織り込んだ理論株価は221.2×15=3,318円

 

また、直近1年以内の増資を発表しており、発行済株式数増加による希釈化が発生するため、理論株価は更に下がります。

液晶パネルの価格下落など厳しい外部環境が継続しますが、はたして収益性は改善できるのか?注目です。

まとめ

以上有価集権報告を軸として現在のシャープを分析しました。

液晶パネルの価格下落といった厳しい外部環境はありますが、全体としては新しい事業・市場を開拓していこうとする気風を感じます。

過去最大の海外売上高比率が何よりの証左です。

 

が、株価に水を差す増資はやってほしくなかったなぁー涙

 

どこまで先の未来を信じて我慢強くホールドできるか?目利きとシャープ愛が試されています。

 

 

今日の一句

”2,000円 切ったら辛い 株価かな”

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