対象の印象を決定する圧倒的な1枚
何年もブログをやっていると、画像を扱う機会が多いためか自然と写真について考えるようになります。
人によって写真の評価基準はそれぞれだと思いますが、私はユニークな写真が大好きです。
最近気になっているのは、杉山雅彦さんというカメラマン。
【その他のシリーズ12】
近所の野球チーム田町少年野球の写真で
チームの勧誘広告としてオファーをいただいて
毎年、撮らせていただいている作品の第三弾です
主役と脇役の配置がキレイにできました
左右の見えない所から、父兄さんが、 ボールを投げてます
合成など、一切なしの一発撮りです pic.twitter.com/qoI4J1NwIu— 写真家杉山雅彦@ニコン銀座2月13日15時まで (@salarymandam) 2017年9月23日
はじめて写真を見たのは2年前、教育系の地域おこし協力隊を考えていたときに参考した広島県立大崎海星高校のパンフレット。(冒頭の画像)
この表紙を撮った人は著名な方だと友人が教えてくれたことがきっかけでした。
その杉山雅彦さんが東京のニコン銀座サロンで2月7日(水)〜13日(火)写真展を開催されるという情報をキャッチ。
また10日(土)16:00~ギャラリートークが行われるので、どんな風に撮っているのか気になっていたこともあり足を運んでみました。
目次
ものすごい数のギャラリー
会場のニコン銀座サロンに到着すると、すでにものすごい数の来場者が!
ちなみにこちらが杉山雅彦さんご本人。とても気さくなおじさんです。
杉山さんが1枚1枚丁寧に解説してくれる
ギャラリートークは、杉山さんが展示作品について1枚1枚解説してくれます。合間に来場者からの質問に答えるフランクな形で進行。
一体どうやってこんな印象的な写真を撮っているのか?杉山さんからのお話を抜粋すると下記の通り。
- 当日は5~8時間かけて準備
- 被写体の方は1~2時間
- 10~20回撮影する(フラッシュを大量に使うため連射ができない)
- 撮影スタッフは奥様と2人のみ!
- 使用カメラはニコンのDOSかD5
- 基本は合成なしの一発撮り。クライアントからどうしても要望あれば修正
とのこと。1枚の劇的な絵を切り取るために、ものすごく入念に準備されるんですね!また撮影スタッフもわずか2人というのに驚きました。
写真は「ネタ選び=事前打ち合わせ」で9割決まる
杉山さんいわく、「写真の面白さはネタ選びでほとんどが決まる」
なので依頼主・お客様との打ち合わせにエネルギーの大半をかけるそうです。
具体的には
- 遠方であっても2-3回は打ち合わせに行く
- 打ち合わせ時に徹底的に現場を観察する
- 被写体となる社員さんに話しかける
と超入念!
また意外なことに構図のたたき台となる「絵コンテ」はつくらないとのこと。
現場で必要そうな準備物を打ち合わせでお客様と一緒に考えて文章で箇条書き。
当日各社員さんが持参したものを現場で組み合わせて作り上げていく「共創」スタイル。
「上から目線で一方的に押し付けるんじゃなくて、一緒に作り上げていくことによって一体感のある写真ができる」という言葉に思わず唸ってしまいました。
フラッシュのチャージタイムが作り出す一体感
一体感の醸成において意外な役割を果たしていたのがフラッシュのチャージ時間。
先述したように大量にフラシュを焚くため、連射ができないのですが、1枚撮影するごとに被写体の方々がだんだん慣れてきます。
さらに撮影を進めていくと1人がふざけはじめ、それが周りに伝播していく。
偶然・奇跡的に撮影されたように見える杉山さんの写真たちは、このような入念な準備やコミュニケーションを経て出来上がっていたわけですね。
展示作品の一部ご紹介
せっかくなので一部抜粋してご紹介致しましょう。
はとバスグループ シーライン東京
登場人物が多数な上に、途中雨が振ったりでなかなか大変な現場だったそうです。
しかし不思議なことに誰ひとりとして文句を言わない!
写真右下の女性は結婚式用のドレスを持参して臨んだのですが、この派手なアクションに服が耐えきれず、お釈迦になってしまったそうです。
さらに左下の女性は、頭上から溢れ出す水が撮影の都度全身にかかりまくり終了時にはズブ濡れ状態に。でも怒るどころか楽しんでいる。
これらのアクションはすべて杉山さんが指示したのではなく、みな自発的にやってるそうです。
だからみんなこんなに活き活きした表情なんですね!ものすごい一体感だと思いました。
静岡市林業研究会
この写真のポイントは2点。
写真に奥行きを持たせるため、小さく映るように人を配置。
もう1点は躍動感を出すために、チェンソーからおがくずを出させたこと。
本来の使い方だとおがくずは飛び散らないそうです(笑)
この躍動感あふれる写真をきっかけに林野庁の人が視察に来たんだとか。
1枚の作り込まれた写真が持つ力ってすごいですね。
大阪の印刷会社 米谷
大阪の会社というだけあって随所に小ネタが盛り込まれています。
画面左奥にはスティーブ・ジョブズのコスプレをしているオジサンが。
さらにその左下にはジョブズの人形が配置されています。イチイチコマけぇ笑!
さらに究極はこの顔ハメ。よく見ると 眉毛⇒「米」、ヒゲ⇒「谷」と見事に融合しています。 大阪人の笑いに対する追求すごいわ・・・!
まとめ
いつもブログに使っている写真は、適当にパシャパシャとって、気に入ったものを抜粋しトーンカーブなどを調整する形で使ってます。
が、今回の杉山雅彦さんの展示会に行って、「本当に力のある写真とは、シャッターを押す前にほぼ決まっている」ということを知りガツンとやられました。
気合の入った記事を書く時は、写真についても構図など含め事前準備をしっかりしておこうと学んだ展示会でした。
今後の展示スケジュールは下記の通り。お近くの方で写真付きの方は是非足を運んでみて下さい!
●銀座ニコンサロン 2018年2月7日〜13日
●大阪ニコンサロン 2018年3月8日〜14日
※どちらも日曜休館 10:30〜18:30・最終日15時まで
今日の一句
”偶然は 事前準備の 積み重ね”
杉山さんはフラッシュを20台!使われるそうです。価格を調べてみたらお手軽価格のものもあるんですね。練習用にいいかも。
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