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加賀恭一郎が好きです
私は普段小説をめちゃ読むわけでもないし、ミステリーが特に好きでもありません。が東野圭吾の加賀恭一郎シリーズは例外。
はじめて加賀恭一郎シリーズに触れたのは、今から6年前の2012年 当時の彼女(現在の妻)と一緒に見に行った映画「麒麟の翼」でした。
大体ミステリーや推理モノって、誰か悪いやつを探す前提で作られていることが多いのですが、「麒麟の翼」は人の優しさが前提に物語が作られていたのがすごく心に残り、小説で他のシリーズ 「卒業」、「眠りの森」を読んでハマりました。
めっちゃ調べまくるところが好き
加賀に惹かれるのは「めっちゃ調べまくるところ」。
私自身凝り性でけっこう調べるタイプなのですが、加賀恭一郎はさらにその2段上行くレベル。てかもはやストーカー。
決定打になるか分からない手掛かりを得るために、恐ろしいほど現場に足を運び材料を積み上げていきます。
「無駄足をどれだけ踏んだかで、捜査の結果が変わる」という加賀のセリフが大好きです。
加賀恭一郎完結作の存在を本屋で知る
2018年1月、本屋をフラフラしていると、新参者シリーズのテーマ曲「ちゃらーららーちゃらーららーチャラらららーらららーらら~」が耳に入ってきました。
あわててそのコーナーに目を配ると、「加賀恭一郎シリーズの完結作 【祈りの幕が下りる時】 が映画化され近日公開」と書かれたPOPを発見。
うぉぉぉお、これは見るしかねぇ!そしてその前に小説版で予習するしかねえぇぇ!
とソッコー文庫版を買って読了しました。
小説版「祈りの幕が下りる時」の感想
久々に小説の中で出会った加賀恭一郎は相変わらずドン引きするほど調べまくってます。
一番ヤベェって思ったのは、手掛かりになるかどうか分かんない12個の橋の情報を得るために
- クルーズ船に何度も乗って下から橋を眺める
- 橋で行われるイベントに当該人物が写ってないか出版社に手当たり次第あたって写真をかき集め検証する
ことをやってのけちゃうところ。
証拠につながるかどうかも分からない・完全に無駄足になる可能性もある段階でここまでやり切れちゃう加賀ちゃんの頭の中は一体どうなってるんでしょう。
もちろん調べまくるシーンは橋以外にもこれでもかって位にあります。さすが完結編。
小説版 祈りの幕が下りる時 の感想を一言で表すと
「フルパワーで調べまくる加賀ちゃんが読めて幸せ」って感じです。
映画版「祈りの幕が下りる時」の感想
映画の内容は捜査よりも、被疑者 浅居博美を軸とした過去の回想ストーリーに重きをおかれていました。
これがまた小さい子どもを持つ親の涙腺を直撃するわけですよ。
フルパワー善人小日向のすごさ
特に特筆すべきは小日向文世さんの演技。
(出典:http://nicoraiss.blog.jp/archives/74213465.html)
私が知ってる範囲での小日向さんがやる役って
- 清須会議・・・丹羽長秀
- 真田丸・・・豊臣秀吉
- アウトレイジ・・・刑事の片岡
のように腹の奥底で黒いこと考えてる油断できない男のイメージが強いんですが、
祈りの幕が下りる時の小日向さんは全く毒がない根っからのいい人。この100%善人小日向は超見ごたえがあります。
もうトンネルのシーンとか、ふあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ~!ってなりました。
映画、祈りの幕が下りるとき
を見に行った。小説も泣けたけど、映像化されるとリアリティましてまた泣けた。小日向さんの演技が
息子や娘を持つ父親の涙腺を直撃するいい映画だった。1歳児の娘をピストンリレーして入れ替わりで妻がこれから見ます。
— ベランダゴーヤ研究所の人 (@peterminced) 2018年2月21日
松嶋菜々子の目力
あとは浅居博美役、松嶋菜々子さんの目の演技。
(出典:明治座 公式HP)
後半加賀が数々の証拠を提示していく毎に表情はたいして変わらないんだけど、目だけが変化していく様はおもわず前のめりになって凝視しちゃいました。
女優って素直にすごいなって思います。
他の演者の寸評
もちろん他の出演者も素晴らしかった。ちなみに監督は「陸王」と同じ福澤克雄。地味に陸王キャストがで出てて面白いです。
では下記簡単ですがコメントを。
人物名 | キャスト | コメント |
---|---|---|
加賀恭一郎 | 阿部寛 | 安定の阿部ちゃん。彼が出てくる映画やドラマは安心して見れますね。 完結作もストイックさと優しさを持ち合わせた好人物でした。 |
松宮脩平 | 溝端淳平 | 麒麟の翼から時間が経過し経験を積んだためか 推理力・洞察力が上がっていました。 松宮は小説版ではもっと活躍してます。 |
金森登紀子 | 田中麗奈 | 田中麗奈さんはほんとイイ感じで年を重ねられてますね。 お節介な看護婦役ドはまりでしたし、 こんなナースに癒されたい。 |
加賀隆正 | 山崎努 | 昔の回想シーンに出てくる 若返った山崎努がすごかった! |
田島百合子 | 伊藤蘭 | 年齢を感じさせない 謎めいた色気がすごかった。 |
???? | 及川光博 | ミッチーさんは今作では結構残念な役。 ミッチーファンは泣くかも笑。 |
浅居厚子 | キムラ緑子 | 陸王で夫を支える良妻役が、今作では真逆の役に。 本当にウザいと思わせる演技力の幅に驚きました。 |
宮本康代 | 烏丸せつこ | 火曜サスペンスに出てきそうな安定感。 |
大林 | 春風亭昇太 | 笑点感をまったく感じさせないキモさがたまりません(褒め言葉)。 特に鬼の首とったどー!的な物言いで 時刻表を見せびらかすシーンが頭に残ってます。 |
???? | 音尾琢真 | 陸王では熱血コーチ役でしたが、今作ではどうしようもないオッサンへ。 全然違う役なのに違和感がないのが音尾さんの凄さなのかも。 |
浅居博美・20歳 | 飯豊まりえ | アパマンショップのCMに出てくる看板娘。 株主総会で初めて知ったのですがまさか祈りの幕に出ているとは・・・! |
浅居博美・14歳 | 桜田ひより | 小日向さんとともに涙腺を攻撃してくる使者。 いやーあれはズルいわ。今後が楽しみな女優さんですね。 |
改めて小説版の感想
映画を見て良かったなーと思われる方は、ぜひ小説版も読んでいただきたい!
映画版は2時間という枠に収めるため、核心につながるまでの過程や脇のストーリーがけっこう省かれています。
- 殺害された押谷さんのいい人エピソード
- 苗村先生の足取り
- 原発労働の過酷さ
- 加賀のいとこである松宮の家庭事情
- 加賀と金森が結ばれる?的描写
物語を重層的に味わえること間違いないのでぜひ手に取ってみてください。
今日の一句
”乳飲み子を 持つ親涙腺 崩壊す”
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