目次
里山資本主義に影響された
ぼくが地方を舞台にいろいろ取り組んでみようと思ったきっかけの1つに、
「里山資本主義」
という本があります。
日々通勤と会社で消耗し、会社員に閉塞感を感じていたぼくにとって、里山資本主義に書かれていた内容はまさに理想の生活でした。
ローカルベンチャースクールに参加して1歩踏み出そうと思ったのも、本書の影響です。
藻谷浩介さんが広島の離島に来る
影響を受けた本の著者 藻谷浩介さんが3/19(日)、広島のとある島にやってくるという情報をキャッチ。
ぼくも江田島という島で活動してますし
運良く広島へ帰省するタイミングと重なったため、行ってみることにしました。
【イベントスケジュール】
個別に参加チケットが必要です(申込数に「組」とあるのはチケット総数になります)
12時〜14時:佐木島散策(特別企画)
※集合場所 鷺港
※参加費:無料
※お弁当持参で桜が咲いてるかもしれない佐木島を散策してみませんか?
無料のサービスインベント早い者勝ちで!!
14時10分頃〜18時(予定):藻谷さん講演会+瀬戸内の未来フューチャーセッション
※会場:「三原市サギ・セミナー・センター」
※参加費:3000円
セッションの内容など、詳細はこちらをご参照下さい
https://www.ourfutures.net/sessions/2260
セッション終了後、休憩を挟んで:「島を食べる」懇親会バーベキュー
※参加費2000円(セッションに参加された方のみがご参加いただけます)
開催場所は三原市佐木島
で、開催場所の島どこなのよ?と要綱を見てみると初めて聞く名前が・・・!
その名は「佐木島(さぎしま)」
三原駅からフェリーで行くらしい。
正直三原駅も今まで1回しか降りたことがない馴染みの薄い駅。
しかも青春18切符の旅で弁当買うためだったからほとんど知らない。
広島市に近く、海軍兵学校もある江田島ならまだしも、
ローカルオブローカルの佐木島に一体何があるのか?
正直、不安半分・面白半分の気持ちが同居していました。
コンパクトに集約されたアクセス拠点
事前に調べた情報によると、三原港からフェリーで行くとのこと。
城垣と一体化している三原駅
東京始発の新幹線にのり、途中福山駅でこだまにのりかえ三原駅へ。
タコの町三原。高校の頃好きだった女の子、タコ飯が好物だったなぁ。
三原駅に隣接する三原城跡。小早川隆景の居城だったらしい。
それは知らなんだ!カヌーできそうな水面。
で、この三原城の石垣・驚くべきことに三原駅と融合してるんですよ。
こんなことってあっていいの(笑)ユニークな駅です。
駅から徒歩5分の三原港
佐木島行きのフェリーが発着する三原港。
なんと新幹線三原駅から徒歩5分!近すぎでしょ!
▲地図で見ると、その近さがより分かります。
交通手段はフェリーと高速船
こちらが三原港。ローカル感がいい感じです。
交通手段は1日7便しかないフェリーだけかと思っていたのですが、高速船もある模様。
行き先が聞き慣れない地名ばかりで良くわかりません(笑)
ターミナルに貼り出されていた航路図。ふむふむ、なんとなく位置関係が分かってきたぞ。
佐木島は一番近いエリアなんですね。
余談ですが、生名島方面は因島と生口島の間に架かっている橋が小さくフェリーで通れないため、小型サイズの高速船しか通れないそうです。
切符売場のおばちゃんが教えてくれました。
島特有の交通事情ですな。
料金設定に佐木島愛が溢れている
時間に余裕があるので高速船にしようかなと思い、券売機に向かうと・・・
んんっ!?フェリーも高速船も同料金の510円!?
だいたい高速船の相場ってフェリーの1.3~2倍が相場。なぜ同料金?何かの間違いなんじゃないか??
不安になっていると切符売場のおばちゃんがまた話しかけてくれました。
どうやらこの航路を運営する土生商船の社長が佐木島に縁があるらしく収益度外視で同料金にしているとのこと。
なるほど、この510円という料金には深い想いが宿されているんですな・・・。
本日所用にて広島県の三原にいるんですが、なんちゅーかオープンな人が多い気がする。同じ広島県でも気風が微妙にちがっておもろいなー。
— ミンチ研究員 byベランダゴーヤ研究所 (@peterminced) 2017年3月19日
フェリーと高速船の外観比較
こちらがフェリー。江田島でいうと三高港から出ているのと同じくらいでしょうか。
そしてこちらが高速船
個人所有のクルーザー船がひとまわり大きくなった感じですね。
13分で佐木島に上陸!
高速船に乗ること10分ちょい。佐木島に到着。
なんかタクシー感覚です。
佐木島(鷺港)から三原を臨みます。やっぱ瀬戸内海は穏やかだなぁ。
手づくりのおもてなし
桟橋を渡っていると目に入ってきたのが現地ボランティアガイドさん手づくりのウェルカムボード。
すげぇな。こういうのってじわじわ伝わってくるんですよね。
続いて巨大掲示地図を背景に島の全体像と今日の旅程を説明してくれるガイドさん。
楽しそうな表情からこの島が好きなんだなぁというのが伝わってきます。
▲指し棒、一体どこから!?笑
佐木島を五感を通じて一周してきた
12:00~14:00までは佐木島を一周するツアー。
まぁこれが素晴らしかった!江田島活性化のヒントがたくさんあふれていましたよ。
リゾート地のようなビーチ
佐木島のビーチはとてもきれいです。
- 青から緑に変化していく海のグラデーション
- ビーチに映える白いパラソル
海外にいかずともきれいなビーチを味わえるんですね。
同じ広島県人なのに灯台もと暗しじゃった・・・。
砂粒もきめ細やかでキレイ。
こちらが撮影した動画。さざ波の音がなんとも言えない癒しになります。
佐木島は見るだけで終わらない
通常だと
「あぁビーチキレイねー」
で終わるんですが、佐木島はそこで終わらない!
なんとヨガマットが参加者全員に配布され
寝そべります。深呼吸すると砂浜の香りが脳の奥まで届いてきました。
合間には貝を渡されるのですが
ビーチの波音と相まって超リラックスできます。表情がちょっとキモくてスミマセン・・・。
気持ちいのでコートも脱ぐことにしました。ふぇ~最高。
他にも
海に向かって思いっきり叫んだり
佐木島で採れた海藻やみかんをもてなされたり
視覚だけでなく、聴覚・嗅覚・味覚を通じてこの豊かな環境を味わうことができました。
こんな楽しみ方があったとは・・・
触覚で佐木島を味わう
まだまだ終わりません。
少し南のビーチに移動して手渡されたのは、この謎のゴム足袋。
なんでもゴム手袋で有名な広島のアトム株式会社に
特注で作ってもらった「砂浜歩行用シューズ」だそうです。
▲特注のため1足2,000円弱するらしい
こいつを履いて砂浜を歩くと、まるで素足で砂浜を歩いてる感覚!
その上
- 汚れないし
- 尖ったもの踏んでも痛くない。
これは全国のビーチに売れるんじゃないだろうか・・・。
あと不思議なことに、佐木島のビーチに転がっている貝殻ってみんな平べったくて丸みがありキレイなんですよね。
下の写真はおそらく牡蠣の貝殻だと思うのですが、あんな鋭利なものがこれほど丸くなってしまうとは・・・
▲アクセサリーやなにかの装飾の部材として使えそう
人も貝も丸くなってしまう佐木島おそるべし。
謎の海中地蔵
自然豊かな佐木島ですが、ちょっと変わったものも。
中央部にある岩をよーく見てみると・・・
お地蔵さんが!
しかも字が書いてあるし・・・。
近くに立ってた案内板によると1300年頃に作られたそうです。
しかしまたなんで海の中に地蔵を作ろうと思ったんでしょうね。
陸で作るよりも10倍以上ハードな気がする。昔はドリルとかもないし・・・謎だ!
そんな感じで佐木島周回ツアーの部は終了しました。
佐木島のボランティアガイドは士気が高い
ツアーを通じて感じたのがボランティアガイドさんのいきいきとした姿。
▲ちなみに一番左が藻谷さんです。
講演会場に戻って聞いた活動報告によると
広島県のおもてなしアワードで優秀賞と取られたとの事。すごい。
ツアーで垣間見た自然体のおもてなしを見ると優秀賞も納得です。
ちなみにぼくたちが先程ビーチで体験したプログラムは
「海浜セラピー」というもので、森林セラピーから着想を得て、広島県立大学と共同で開発されたそうです。
実際に唾液の成分などを分析してセラピー効果が証明されたとのこと。
これはすごい体験コンテンツだ・・・!
藻谷浩介さんの講演
その後本日のメインイベントである藻谷浩介さんの講演。
あまり詳細に書くとネタバレになってしまうので控えますが、驚くのは土台となるデータ分析量。
下記は年齢別の人口増減率を軸に広島県内の市町村をマッピングしたものですが、どえらい作業だったと思います。
一体どんなバックグラウンドなのか?気になって経歴を調べてみたら、化物でした(笑)
(出典:日本総研 研究員紹介ページ)
- 3,200市町村すべてをおおむね自費で巡歴!?
- 海外72カ国をほぼ自費で回る?
- 超ハードボイルドな全線制覇の乗り鉄!?
膨大な1次情報に基づく分析と主張にはとてつもない説得力を感じました。
雑貨屋ブルドッグや株主総会を自費で回ってるなんてまだまだ甘いな自分・・・
なんかブロガーとしても刺激を受けた次第です。
グラフィックファシリテーターという超人
あと今回の講演でびっくりしたのがグラフィックファシリテーターという存在。
ホワイトボード前にいらっしゃる女性の方なのですが、ずーっと前にいるので一体何をやるのか不思議な眼差してみていたのですが
講演が始まるやいなや即座に内容を図解にしてアウトプット。
冒頭のイントロダクションと参加者の自己紹介
佐木島ボランティアガイドさんの報告
藻谷さんの講演
▲なんと似顔絵付き
参加者によるグループセッション
計4時間にわたる内容をすべて模造紙上に表現しつくされてました・・・。すげぇわ。。。
なんかブロフェスのタムカイさんを思い出したのですが、西日本にもいらっしゃるんですね。
あとでお話を聞いてみたら、いろんな会議や講演で呼ばれるそうです。すご。
最後は佐木島グルメ
会の最後は懇親会。
佐木島でとれる食材をふんだんに使った手作り料理。
なんでしょう、このおばあちゃん家に行ったときに出される豪華な料理みたいな感覚。
ホテルなどで出される型にハマったバイキングや仕出し料理にはない魅力が詰まっていて嬉しくなりました。
個人的な提言
今回佐木島にいってみて、2点もっと伸ばせるなと思いました。
海浜セラピーの島外展開
いやーこれすごい良かった。
- ノウハウ講習会
- 特注足袋の通信販売
で全国に展開できるとおもいます。江田島でもぜひやりたいな。
旅行会社と協業しインバウンド需要を取り込む
今インバウンド市場は急速にFIT(個人旅行)化が進んでおり、ありきたりでない濃い体験を求める外国人が増えています。
佐木島には海浜セラピーをはじめ、多くのアクティビティを開発できる土壌があります。
さらに大きいのは交通アクセスの良さ。
訪日外国人の方は新幹線乗り放題という超すごいチケットを買えるのですが、新幹線駅から超アクセスが良い佐木島は最高のポイントです。
競争社会に疲れた香港人とか癒やしスポットとして超喜んでくれそう。もちろん対価もしっかり払ってくるに違いない。
参考:JR乗り放題のジャパン・レール・パス料金表(2016年10月現在)
▲にしても安すぎ・・・
(出典:ジャパン・レール・パスHP)
まとめ
- 藻谷さんの話を聞きたいというミーハー精神
- 江田島の参考になるかなー
といった軽い気持ちで行ってみた佐木島ですが、想定外に良いところでした!
特に見るだけじゃなくて
- 嗅覚
- 聴覚
- 味覚
- 触覚
五感すべてを動員すると、感じ方が全然変わってくることを知れたのが大きな収穫。
また特筆すべきなのはボランティアガイドさんの士気の高さ。
ぼくたちが美しいビーチを楽しめた陰には、
- 朝のゴミ掃除
- パラソルを設置
- ヨガマット・足袋など諸備品の準備
といったボランティアガイドさんたちの見えないおもてなしがありました。
それは佐木島に対する深い愛がないとできない活動。
今後はきちんと対価が発生して、佐木島の継続的な発展につながればいいなと思いました。
今日の一句
”観るだけじゃ ホンマの観光 できないね”
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
4/11追記
佐木島は広島県のベスト桜スポット1位だそうです!
こんなに詳しく、しかもお褒めの言葉も入れていただきありがとうございます。あなたの感性が素晴らしいですね。同じことをしてもここまで感じてくださる方はないですね。又、それをこのような形で残して公表くださった方も初めてです。
この感性とこまめさがあれば、きっと,何かが始まりますね。また来てください。ご健闘をお祈りしております。おくの
奥野さん
当日は暖かいボランティアガイドありがとうございました。良い思い出は残しておきたい記録魔なもので・・・。佐木島のPRにつながれば幸いです。またお邪魔する際はよろしくお願いします!
PS:外国人観光客向けに日帰りのパックツアーが作れるような気がします。広島出身の大学の先輩がインバウンド事業を行っており何度か足を運んでいる中で可能性を感じました。もし収益化を検討されてましたらお手伝いさせてください!
http://chibra.co.jp/