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水耕栽培は溶存酸素が重要である。
最近ドローンに入れ込みすぎて水耕栽培がお留守になってるカタオカ(@peterminced)です。
趣味で水耕栽培を開始して早5年目になりますが、やればやるほど細かいパラメーターの重要性が分かってきました。
例えば
- 液肥濃度
- ph値
はメジャーな数値。Amazonで1,000円台で売られているメーターを使えば計測可能です。
しかしもう1つ重要なパラメーターがあります。それは水中の溶存酸素量。
植物も呼吸をしているため、水中の酸素濃度が生育に大きく影響します。
そして溶存酸素量が少ないと生育が阻害され最悪根腐れに。
溶存酸素量の重要性は約40年以上前の京都大学の論文にも示されています!
出典:京都大学 の水耕栽培の栄養吸収と溶存酸素量・溶液温度に関する論文
水温が高くなるほど溶存酸素量は低下する
そして溶存酸素量は、水温が高くなるほど低下。
下記は飽和溶存酸素量と水温の関係性を示したグラフです。
(出典:飯島電子工業㈱HP記載のJIS K0102 :2016 水中の飽和溶存酸素 数値より作成。1気圧下・塩分なしの数値)
例えば15℃と40℃を比較すると、差異はなんと58%!
昨年の屋上栽培は猛暑の影響もあり水温40℃超えが日常茶飯事。育ててた植物たちがすべてノックアウトされたのは水温上昇による溶存酸素量の低下が一因と考えられます。
対策は別途考えるとして、まずは溶存酸素量を計測する方法を検討してみました。
①使い捨ての安い試薬を使う
無邪気に溶存酸素計を調べると、その価格に驚きます。例えば堀場製作所製のLAQUAact D-70シリーズはなんと16万円・・・!
とても手が出せる代物ではありません。
(出典:堀場製作所 LAQUAページ))
そこで選択肢に入るのが使い捨ての溶存酸素(DO)キット。
10本で3,500円なので、16万円の計測器と比較すればかなり割安です。
で実際買ってみて使った結果がコチラ。
うーん使い方が悪かったのが、違いが分かんねぇ・・・。
このように青色の濃度で判断するため、微妙な差異までは分かりません。
さらに9mg/L以上の数値は測定不能。お値段は手軽だけど使うには習熟が必要と思いました。
②レンタルする
次に出てくる選択肢がレンタル。高い計測装置も借りれば安く済むと考えたのですが、実際に調べてみるとやっぱ高ぇ!
出典:オリックスレンテック
またどこも法人利用を想定してか、借りるためには別途見積もり・問い合わせをする必要が。
個人利用するには敷居を感じてしまいました。
③機能絞られた安価なモデルを買う
そんな経緯もあり、多少コストが掛かっても買おうと決意。
必要な機能を絞って個人利用にマッチしそうな商品をピックアップしてみました。
要件は下記の通り。
- 3万円前後
- ハンディタイプ
- コンパクトで機動力高い
その結果が下記比較表です。(スマホ閲覧の場合横スクロールできます)
販売元 | FUSO | FUSO | FUSO | マザーツール | マザーツール | Kkmoon |
---|---|---|---|---|---|---|
型番 | PDO-519 | PDO-520 | DO-5519E | DO-5509 | DO-5510HA | Kkmoon? |
画像 | ||||||
価格 (Amazon) | 21,307 | 27,465 | 25,129 | 24,399 | 37,342 | 13,999 |
センサー 計測方式 | ポラーロ グラフ式 | ポラーロ グラフ式 | ポラーロ グラフ式 | ポラーロ グラフ式 | ポラーロ グラフ式 | ? |
測定範囲 | 0~20mg/L | 0~20mg/L | 0~20mg/L | 0~20mg/L | 0~20mg/L | 0~20mg/L |
水温 | 0℃〜50℃ | 0℃〜50℃ | 0℃〜50℃ | ? | 0℃〜50℃ | 0℃〜40℃ |
分解能 (酸素) | 0.1mg/L | 0.2mg/L | 0.1mg/L | 0.1mg/L | 0.1mg/L | 0.01 mg / L |
分解能 (水温) | 0.1℃ | 0.1℃ | 0.1℃ | ? | 0.1℃ | 0.1℃ |
測定誤差 (溶存酸素) | ±0.4mg/L | ±0.4mg/L | ±0.4mg/L | ±0.4mg/L | ±0.4mg/L | ±0.4 mg / L |
測定誤差 (水温) | ±0.8℃ | ±0.8℃ | ±0.8℃ | ? | ±0.8℃ | ±1℃ |
電池 | 単4電池 ×4本 | 単4電池 ×4本 | 006P(9V) ×1 | 006P(9V) ×1 | 006P(9V) ×1 | 1.5V LR44 ボタン電池 |
本体サイズ (mm) | 190H × 40W × 40D | 190H × 40W × 41D | 135H × 60W × 33D | 131H × 70W × 25D | 180H × 78W × 32D | 140H × 43W × 43D |
プロープ長 (mm) | なし | Φ28 × 190 | Φ28 × 190 | Φ28 × 190 | Φ28 × 190 | Φ13 × 158 |
コード長 | なし | 4m | 4m | 4m | 4m | |
重量 | 170g (電池含) | 390g (電池含) | 450g (電池含) | 400g (電池含) | 335g? (電池含) | 132g? (電池含) |
防水 | IP67 | IP67 | なし | なし | なし | なし |
気中酸素測定 | 〇 | 〇 | 〇 | ? | ? | ? |
電解質 溶存酸素 充填液 | 付属 | 付属 | 付属 | 付属 | 付属 | なし |
日本製のFUSO製 PDO-519を選んだ理由
比較した結果選んだのは、FUSOという国内メーカー製のPDO-519
理由は下記の通り。
個人利用なので大掛かりなものは不要。保管スペースも考えると小型なこの製品がジャストフィットでした!
価格的には中国製のKkmoonも捨てがたかったのですが、電解液を別途買う必要があることと、説明書がショボそうな可能性があるため除外しました。
今回選択したPDO-519は日本製で1年間の保証がついている上に修理校正サービスも行っているので、安心感が全然違います。業務用より安いといっても数万円はするので、サポート体制の差は大きいです。
実際にPDO-519で溶存酸素を測ってみた。
では実際どのように溶存酸素を測るのか?動画で解説しましたので御覧ください。
【動画】溶存酸素計の使い方
ポイントは、はじめに空気中の酸素を使って校正作業をする必要があること(30秒)
これは「ポラーログラフ式」の溶存酸素計なら共通のようです。
水耕栽培装置における数値比較(エアレーションの有無)
現在ベランダで運用中の無限シソ栽培装置液肥そうにおける溶存酸素量を測定してみました。
エアレーションを担う循環ポンプがどれだけ溶存酸素量向上に寄与するか調べたのですが、結果は
- 夜間10時間循環ポンプ停止⇒5.5mg/L
- 循環ポンプ運転⇒7.6mg/L
と38%も差異があることがわかりました。こうして数値で明確に分かるのが面白いですね!
まとめ
高価でなかなか手を出しにくい溶存酸素計ですが、FUSO製のPDO-519は3万円以下で買え、必要備品も揃っているのですぐに使えます。
ちょっと数値測りたいけど業務用の高価過ぎるモデルは買えないという方にとってコスパ抜群。こいつを使って今年は栽培精度を上げていきたいと思います。
今日の一句
”¥16万 出さずに測れる 酸素量”
また、プロープ付き(本体と計測部が分離)が良い人は数千円足せばPDO-520が買えますよ。
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