【株主総会前に】シャープが復活するのか徹底的に分析してみた。

シャープ株主総会の招集通知が来る!

私ははゴーヤ研究家という一面の他に、シャープ製品を愛しており、株主でもあります。

 

 

そんな私にとって待ちわびた一大イベント、株主総会が6/20(火)大阪で行われまっせーという案内が届いたので、今回はその内容をご紹介します。

 

シャープ関連書籍は4冊読破!

ちなみに6/12現在、シャープ関連書籍は4冊読了しております。事前知識は完璧だぜ!

 

【読んだ本リスト】

 

【書籍レビュー記事】

【ホンハイ】「野心 郭台銘伝」は、株価上昇中のシャープ投資判断を助ける優良レポートである。

2016年12月9日

 

 

総会会場はなんと堺本社!

今年の株主総会は堺本社!去年は大阪市西区のオリックス劇場でしたので今年も同じ会場と思ってました。

大みそかに外側だけ見てきた堺本社についに入れるのか~!!と思うと気分が高揚します。

【実訪問レポ】シャープは本当に復活するのか?弱小株主が新本社に足を運んでみた。

2017年3月2日

ちなみに堺本社まではバスで送迎してくれるそうです。

 

14:00~経営説明会

案内によると総会終了後、14:00より経営説明会があるとのこと。これは楽しみ!!

ただし、飲食できる場所はないため、事前に食糧を買っておく必要がありそうです。社員食堂があるなら行ってみたかったぜ・・・。

 

また、駐車場がないため会場まで車で行くことは不可能。ご注意を!

 

定款の変更

今回の株主総会では定款が変更されるのですが、細部をみると面白いものがありました。

 

農業→食品製造販売もやる!

まず私が注目したのが定款に記された事業内容の変更。

「農産物の生産及び販売」→「食品の製造、加工、輸出入及び販売」と範囲を拡大させています。

というか電機メーカーであるはずのシャープが、元々の事業内容に農業を定めていた ことが超意外。やっぱ面白いわこの会社(笑)

 

また、「金融商品取引に関する業務」 も今回追加されています。

一体なにやるんだろう。fintech? 仮想通貨? 色々チャレンジする姿勢に完全復活の兆しを感じます。

ちょっと株主総会で質問してみようかしら。

 

監査等委員会設置会社でガバナンス強化

監査役・監査役会は廃止され、監査等委員会になります。

コレ、一体なんなんだろうと思ったのですが、2014年の会社法で委員会設置会社に派生する形で新しく定められた制度のようです。

導入によるメリットは下記の通り。

  • 監査役の任期が4年であるのに対し、監査等委員である取締役の任期は2年であるため、より柔軟な改選が可能となる。
  • 従来取締役会で議決権を行使できなかった社外役員(社外監査役)が、取締役会で議決権を行使できるようになり、ガバナンス強化に資する。
  • 業務執行に関する迅速な意思決定ができるようになる。

出典:Wikipedia

 

シャープ崩壊の原因は、旧経営陣の権力抗争により、命令系統が混乱したことにありました。

例えば液晶パネルと太陽電池は生産設備が似ているため、共通化により操業効率を改善することができたのですが、実際は各事業部の取締役が暴走してバラバラに作っちゃったんですね。

こういった全体最適無視の再発防止という意図で導入されるのであれば、株主的には歓迎です。

 

役員改選

今回の株主総会を機に、取締役・経営陣が一部入れ替わります。プロフィールや持ち株数が掲載されていたのでご紹介。

 

戴正呉社長は持ち株ゼロ

シャープの急速な業績改善・復活を導いた載社長の持ち株数は意外なことに0株。

報道によると1日17時間もモーレツに働かれているそうです。その奮闘が報酬として報われる形になればいいのに。逆に保有していないと何かあるんんじゃないかと勘繰ってしまいます。

 

野村副社長はSDPの出身

戴社長を支えるのはシャープ出身で、かつホンハイとの合弁会社SDPの社長も務められた野村勝明さん。

SDP経営・復活を通じてホンハイのスピード経営を体験されているので、まさに腹心と言っていいでしょう。

持ち株の価値は約700万円(@400円として)。取締役陣の中では一番多くの株を持たれています。

 

ホンハイ色が強い取締役陣+NHK

その他4名の取締役は下記の通り。

  • フォクスコン・ジャパン出身 高山俊明さん
  • ホンハイ出身 劉揚偉(りゅうやんうぇい)さん
  • 元NHK副社長 西山博一さん
  • ホンハイグループ出身 王健二(おうけんじ)さん

 

6人中4人がホンハイグループ出身ということになります。

また興味深いのはNHKの元副社長が取締役として加入していること。報道によると、8K技術についてNHKと連携するためだそうです。これはおもろい。

取締役は9名→6名へスリム化

今回の役員改選が承認可決されると取締役は9名→6名に。随分とスリム化されました。

今後意思決定を迅速化させる意図があると考えられます。

 

 

ストックオプションの付与

ほとんどの役員が自社株を持っていない状況にありますが、今後ストックオプション制度が導入される予定です。

株数にして6,000万株。1株400円とすると240億円に相当します。これは役員・従業員とも復活に向けてモチベーションが上がりますなぁ。

まぁ株主的にはバラマキすぎて株式が希釈化しすぎないように注意してもらえれば歓迎です。

主要な事業セグメント

現在のシャープを構成する事業セグメント一覧です。

  • スマホはIoT通信事業にカテゴライズされるんですね。へぇー。
  • ユニークな家電を産み出すのは健康・環境システム事業部。
  • 堅調な利益を稼ぎ出す優等生のビジネスソリューション事業部。
  • 今後伸びが期待されるカメラ・電子デバイス事業部。
  • 市場価格の約20倍でシリコンを仕入れ続けていたがために赤字の元凶となっていたエネルギーソリューション事業部。
  • シャープの浮沈を握るディスプレイデバイス事業部。

 

ちなみにシャープ元社員の方に聞いたところ、事業部によってカラーが全然違うとのこと。

例えば昔から歴史がある事業部は穏やかで堅い雰囲気な一方で、歴史の浅いディスプレイデバイスはイケイケドンドンな雰囲気らしい。

 

私がシャープの社員だったとしたら、ディスプレイデバイスには行きたくないな・・・。イケドンは苦手っす。

 

従業員は国内で8%も減!

従業員の状況をみると、ここ1年で国内は8%も減っています!

できれば月次のペースが知りたいところ。ホンハイ出資が完了して以降、退職者が減っていればいいんですが。これも質問してみようかな。

 

意外と幅広い事業拠点

主要な営業所と工場の一覧はこちら。シャープといえば、堺や亀山といったイメージが強いのですが、わが故郷広島にも3つ拠点があるんですね。意外だ。

アジアについては中国だけでなくタイにも進出しているようです。

蚊取り清快が東南アジアで大ヒットしているのは、タイ拠点が頑張っているからなのかな。

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依然として高い借入金

ホンハイの出資により債務超過は免れましたが、依然として多く残っているのが借入金。内訳を見てみると、みずほ と 三菱東京UFJの2行で4,400億円!

社債などほかのものも含めると負債総額は1.2兆円にものぼります。

 

この膨大な借入金による利息負担がどれほどのものなのか??コマーシャルペーパー(CP)を含めた過去の支払利息データをグラフ化してみました。

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(出典:シャープ決算短信 連結損益計算書より作成)

 

2015年の支払利息が231億円!それと比較すると2017年3月期は64億円と大きく改善したことが分かります。よくここまで減らせたなぁ。

堺工場の大幅投資で生じた借入金がキャッシュフローを悪化させ、借入金が膨らんでいったことが原因かと思われます。

身の丈を超えた借り入れは自分自身を滅ぼす要因となりかねないということをシャープの失敗事例は教えてくれますね。

 

意外な大株主、マキタ

大株主欄を見てみると、鴻海グループ・保険会社・金融機関に加えて、ちょっと変わった顔ぶれが。

第9位に位置するのは株式会社マキタ。建築現場・DIY業界から絶大な信頼を受けている大手電動工具メーカーです。

 

しかしなぜマキタが出資しているのか?ググッてみたところ、2013年に経営危機に陥った際に業務提携強化の目的で出資してもらったらしい(金額にして100億円)。

 

奇跡のコラボ商品

で実際にコラボしてこんなものをつくってます(笑)

マキタのロボットクリーナー!!

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カッコよすぎだろこれ!!開発秘話によると、シャープのロボット掃除機ココロボがベースとなっているようです。

マキタさんには引き続き出資を継続していただきたいと思います。

 

着実に改善する売上原価率

連結損益計算書から収益性を見てみましょう。

 

シャープの課題は売上原価率の高さでした。いくら売上高を増やしても、原価が高ければ利益が残りません。鴻海グループの傘下になることでどれほど改善したのか?過去の推移とともに見てみましょう。

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(出典:シャープ決算短信 連結損益計算書より作成)

 

2016年3月期と比較すると大きく改善していることが分かります。が、過去のデータを鑑みると、もう一段コスト削減できる余地はあります。

ちなみに今期同業他社の売上原価率は、パナソニック⇒70.2%、ソニー⇒73.8% でした。完全復活に向けてもっと踏み込んで頂きたいものです。

 

「人に寄り添うIOT企業」を目指す

シャープが目指す今後の姿として示されているのが「人に寄り添うIoT企業」というスローガン。

 

これ、個人的にとてもいいなーと思います。

経済産業省が公開した調査結果によると、今後大きな影響力を与えるIT技術としてIoTが明確に示されているからです。そこにシャープの強みであるユーザーの使い勝手を重視する視点が入ると、なにかとてつもなく面白そうなものが出てくる気がします。

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出典:経済産業省 IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果

 

質問してみたい事

以上を踏まえて、現時点で質問してみたいことを羅列してみました。他に出席される予定の復活を願う株主の方の参考になれば幸いです。

  • 「食品の製造、加工、輸出入及び販売」とは具体的に何をするのか?
  • 「金融商品取引に関する業務」とは具体的に何をするのか?
  • 取締役に我が社の株を保有している方が少ない。ストックオプションではどのくらいの株を割り当てられる予定なのか?
  • 取締役の数を9名から6名にしたことの意図は?カバーしきれるのか?
  • 国内従業員数が昨年比8%も減少しているが、現在はどれほどまで抑えられているのか?
  • ハイセンスに供与した米国でのSHARPブランドの奪還見込み
  • 目標売上高原価率はどのくらいか?同業他社は70%ちょっと。わが社は80%台と開きがある。
  • 東証1部復帰後、戴社長は退任し日本人を社長にすると宣言されたが、後任は誰を据えるのか?
  • 東芝の半導体事業を買収した暁には、具体的にどのような製品群に活かしていくのか?

 

なんか沢山出てしまった。

 

まとめ

6/20株主総会本番を前に、招集通知を基に色々予習・分析をしてみました。データを分析してみて、シャープは改善・復活の方向に向かっていることを改めて感じています。

さて当日の株主総会会場でどんなことを感じるのか?今からとても楽しみです!

 

今日の一句

”わくわくが ますます膨らむ 予習作業”

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