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江田島市がLIGのいいオフィスに出張してきた
各分野の専門家に撃破され進捗停止中の江田島空き家マッチングシステムですが、ユーザーのペルソナを研究するべく、広島への移住イベントに足を運んでおります。
そんな中でも今回は、広島県・江田島市がLIGのいいオフィスと共同で
「瀬戸内 × リモートワーク × 移住」
をテーマにした参加型のイベントを4/20に開催するということで行ってきました!
参加者は30代を中心とした働き盛りの世代
参加者はざっと見た感じ30~40名くらい。
男女比は5:5
年齢は30代を中心に幅広く、家族連れで参加されている方もいらっしゃいました。
東京において地方移住にアンテナが立ってる方はリタイア世代というより働き盛りの方々なんですね。
また最後の懇親会で話した感じでは、地元が広島だったりおばあちゃんが広島出身だったり
何かしら広島に地縁を持たれてる方が多い印象。
広島県人の県民性としてけっこう外に出ていく気質があるのですが、外の世界を何年か経験し、今後の生活を考えていく時に、ふと郷里の広島が立ち上がってくるのかなと思いました。
仕事(収入)は移住実現の最大のボトルネック
そんな移住検討時に立ちはだかるのが収入源の確保。つまりは仕事の問題。
具体的に現地訪問して行動しても、マッチする仕事が見つからず決断に至らないという現実。
ここで多くの方が断念してしまうのです。
実際広島へのUターンを妻に話したとき、真っ先に出るのは「仕事あるの?」というひとこと。
フットワーク軽い独身ならまだしも、所帯を持ってる場合、収入源の断絶=家族の離散 になってしまいますからね。
なかなか軽視できない話です。
実際に地方に仕事はないわけではないのですが
漁業や介護といった特定の業種に限られたり、あるいは単純作業でこれまでのバックグラウンドが活かせない
など需給の構造的問題があります。
じゃあどうしたらエエねん!?ということで地方オフィスやリモートワークを推進している企業を交え議論していこうというのが今回の会なのです。
LIGの場合
WEB業界では知らない人はいないLIGは、この頃 何かと地方創生に絡んでる印象があるのですが
代表の吉原ゴウさんいわく
友人に誘われて高知に行ってきたことをLIGブログに書いたらけっこう反響が多かったのが、きっかけ。
出典:カツオとお接待と清流がすごい!魅力あふれる高知県に行ってきた。
ITの仕事はどこでもできる。
じゃあ地方でその仕事はできないか?
成果を出せるかどうか実験しその様子を発信してみよう。
で、現地自治体とネットワークができたら、そこに「いいオフィス」のブランドを展開し、今では長野・広島・セブにコワーキングオフィスを設置しているそうです。
ぼくが聞いてて意外だなーと思ったのが、構築したコワーキングスペースでLIGは仕事を斡旋しないということ。
- 仲良くなって気が合う人とやる仕事が一番いい。
- 無理に斡旋してしまうとうまく行かなくなった時に辛くなるから。
あくまでも場所を提供し、LIG単独でなにかをやろうとしているわけではないというスタンスが面白かったです。
移住で仕事がネックになるなら場所を問わずに働ける人を呼ぶ
じゃあ自治体側はどんな動きをしているのか?
地域活性のコンサルタントだったけど実践側をやってみたいと思い、2016年から江田島市地域おこし協力隊になった後藤峻くん(高校の同級生)は
「移住で仕事がネックになるなら、場所を問わずに働ける人を呼ぼう」
という視点から、海が見える市の遊休施設をコワーキングスペースに改造しようと計画中。
この施設、ぼくも見てきたことがあるんですが
- 超きれいな海が臨める
- 大きな調理室がある
- なぜかろくろもある
- 隣に謎の巨大プールがある(ここでホンモロコを養殖?)
と拠点としてのポテンシャルをかなり秘めてます。
島としてはかなりの広さを誇る江田島市ですが、残念ながらPC開いて落ち着いて作業する場所がないんですよね。
強いて言えばファミレスのジョイフル?(←WiFiなし)
WiFiの整備と空き家を活用した宿泊拠点を構築すれば、開発合宿など活用の幅が格段に広がると思います。
実際千葉の金谷には江田島と似た環境で成功している「まるも」というコワーキングスペースがあるのですが、非常にリラックスできるいい場所でした。
あとで後藤くんに聞いた話によると、懇親会でオラクル(世界的IT企業)の方が早速興味を示されて、短期合宿拠点して使いたいとのこと。話が進むといいなぁ。
合間には江田島 山岡水産の牡蠣と1本1万円もするオリーブオイルが振る舞われました。
焼き牡蠣のオリーブオイルがけ初めて食べましたが、これほど合うとは・・・!江田島ならではの贅沢な食べ方です。
ツールで解決するリモートワーク最前線
続いては場所にとらわれないリモートワークに取り組んでいる企業によるトークセッション。
パネリストは
- ソニックガーデン 倉貫義人さん
- レノボジャパン 村上武士さん
- KDDIウェブコミュニケーションズ 長嶋亜紀さん
各自リモートワーク導入における工夫点を話されていたのですが、面白かったのは
- オフィスで対面で働くことのメリット
- リモートワークで発生するデメリット
をツールで解決していたということ。
例えば
完全に1人だと絶対サボる自信があったのでfacetime(テレビ電話)をつなぎっぱなしにする。
社員全員がリモートだが雑談がなくなり殺伐としてきたので、自社でコミュニケーションシステムを内製した。
といった取り組み。
ぼくは前職リモートワークとは全く無縁の重機械系のメーカーだったのですが、ツールをうまく使いこなせばちゃんと機能してしまうんだということに素直に驚きました。
ソニックガーデンにいたってはオフィスを完全撤廃しちゃってるし。なんだそれ!
オフィスがいらないとなると不動産の価値まで変わってきそうだな・・・。
- 地方の優秀な人材を活用できる。
- 増加中の介護離職を防ぐことができる
- 通勤時間を他の余暇活動に充てられる
- オフィスの固定費を抑えられる
リモートワークの持つ可能性は思っているよりも広そうです。
リモートワークの本質を考える
一方LIGの吉原ゴウさん曰く、
見知らぬ土地での短期移住の場合、仕事のパフォーマンスは下がってしまうとのこと。
地域観光や慣れない土地での生活で色々時間を使ってしまうみたいです。
また、リモートワークで成果が出せるのは、デザイナーやエンジニアといった1人完結できる仕事のスキルを持つ人達。
一方チームでやる仕事(営業とか製造業とか)は難しい。
そしてスキルが十分でない新入社員もいきなり1人でリモートは厳しい。
どういう時に機能するのか・しないのか本質を考えながら導入するのがいいという意見でした。
LIGのことなのでリモートワークウェイウェイ!なのかと思ってたのですが、冷静に捉えられていたのが意外でした。
リモートワークは逃げの手段ではない
あと長嶋さんが言われてた言葉の中で印象に残ったのが
- 仕事を楽チンにする
- 煩わしい人間関係から解放される
ためにリモートワークはあるわけじゃない。
業務を進める上で社員同士の関係性は重要だし、リモートワークのほうが成果が明確になる。
リモートワークを逃げの1手ではなくパフォーマンスを上げる手段として考えないと機能しない。
という意見。
左うちわなイメージがあるリモートワークですが、きちんと実像を捉えないといけないなぁと思いました。
地方での理想の働き方⇒東京と完全に切れるのは不安
最後は参加者同士で、「江田島で実現する理想の働き方」についてグループごとにディスカッション。
聴いていて共通してるなーと思ったのが
今ある東京とのつながりを完全に断って、江田島に引きこもるというのは不安だということ。
やはり東京は仕事の種類もたくさんあるし、情報の集積地でもあり魅力的な場所。
一方地方には東京にはない豊かな自然環境・1次資源がある。
この両方のいいとこ取りができる働き方が今多く求められているのかなと感じました。
例えば同じグループになった方では
野菜ソムリエの資格を活かして、江田島の食材を使ってワークショップをしたい。
ただ取材をして記事にするだけでなく、実際に当事者として現地の仕事を手伝いながらライターとして仕事の幅を広げていきたい。
という方がいらっしゃいました。
都市と地方を結ぶ働き方をしたい
会社を辞めて妻に内緒で地域おこし協力隊に応募したり、
群馬でゴーヤ塩つくったり、
ブロフェスに出場して発信力を鍛えたり、
江田島の空き家マッチングシステムを開発したり・・・
手探りで実験していく中で半分リモートワークみたいな働き方を構築しつつあるぼくですが
1拠点に縛られるよりも複数拠点で仕事をしていったほうが掛け合わせの幅が広がって面白いなーと思うんです。
- 都市部は3次産業に偏ってる
- 地方は1次産業に偏ってる
この偏りを結合させたらきっと面白いものができるに違いない。
今回のイベントでは、自分と似た考えの人が多く、なんだか安心しました。
まとめ
コワーキングオフィスは江田島市にとっても今までやったことのない分野。
色々進めにくい部分もあるかもしれませんが、東京との縁を保ちつつ、地方で新しいことをしてみたいと考えている人にとって必要不可欠なインフラ拠点ですので是非進めて頂きたいですね。
今日の一句
”たまり場が 都会と地方 つなげます”
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