”資源は人によって発見される” 異端児という資源を受け入れ続ける西粟倉村に行ってきた。 #ローカルベンチャースクール

今週末のローカルベンチャースクールはフィールドワーク。

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先週のローカルベンチャースクールから1週間経過しましたが
今回は下記土地の中から1つを選択し実際にその土地にいくフィールドワーク。

・岡山県西粟倉村
・三重県尾鷲市
・山形県朝日町

ぼくは第一希望の西粟倉に配流されることとなりました。
ちなみに西粟倉村、人気No1だったらしく定員4人超えで抽選だったようです。

運がよかった。ありがたや~

 

なんと西日本は40年ぶりの大寒波

フィールドワークの日程にジャストタイミングで大寒波がやってくるとの予報が。
マジかよ。40年ぶりというハレー彗星的なタイミングに、東京から西日本へ突入してしまうって
運がいいのか悪いのか・・・

(前日に届いた事務局からのメール)

・・・
あまり天候がひどくならないことを願いつつ、
状況によっては、
・途中で中止、帰宅となる可能性がある(都度判断します)
・行程に大きく影響が出る(視察予定のところがキャンセルになるなど)可能性があること
をご了承の上、ご参加ください。

マジかー!

まぁ、そんな厳しいタイミングの時こそ、その地域の真価が見れるんじゃないかと
前向きに捉えることにしました。

 

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道中の新幹線車中@米原あたり。西粟倉スーパー雪降ってそうだな。

瀬戸内海気候で育ったぼくにとっては寒さは脅威なのです。凍死しねぇかな・・・。

 

 

11:30集合時刻の前に姫路散策

 

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集合は11:30 姫路駅南のトヨタレンタカーだったので、一足先について
姫路界隈を散策してみることに

 

 

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駅構内にある立派な姫路城ジオラマ。ついつい見入ってしまう。。

 

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姫路駅の2Fテラスデッキからのビュー。姫路城を中心として左右に街が展開されています。
しかし遠い。ちょっとテクテクあるいてみましょう。

 

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10:45頃の様子ですが、既にメニーメニーピーポー。
なぜか和服姿の方が多かったのは、たまたま?

 

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城の前の広場では、少年野球チームが練習?してました。
えっ世界遺産前で野球できちゃうの?

天守閣に入ったらホームランなのだろうか。意外と管理はユルイのかしら。

 

 

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姫路城の入場料は現在1,000円 と相場よりもなかなか強気なのと、時間も限られていたので
とりあえず今回はここまで寄って満足。うわさには聴いてましたが、ホントに気持ちいいくらい白でした。

 

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姫路駅方面へ帰ろうとターンすると視界に入ってきたのが、姫路市立動物園。

お城の敷地内に動物園ってなかなか大胆に攻めてますな。
彼らは籠城戦となった時、食糧や兵器として活用されるのかもしれません。

 

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大人と子どもの入場料の格差がスゴイ!小人に優しすぎる。

しかしなぜ小人30円 という中途半端なプライシングになったんでしょう?
義務教育までは優しい街、姫路。

姫路城を守るアニモーたちを拝んでみたい気持ちもありましたが
時間も限られているので、いつかの機会に。

 

 

森の学校、牧大介氏による全体オリエンテーション

今回参加メンバーはコーディネーターの林さん入れて7名。
ちなみに7名中3名が林と、林率高めwのメンバーです。なんせ行くのが森ですからね。

それぞれ西粟倉を選択した下記の通り。

・自分で人生を切り開いている人をこの目で見たかった。
・ローカルベンチャーを次々と生み出している場に興味があった。
・牧さんに会いたかった。
・募集のコピー”自分おこしからはじまる、ローカルベンチャーの群れ”に惹かれた
・ビジネスのにおいがした

姫路駅からレンタカーを使って1.5時間。

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西粟倉に到着。

 

 

ピンク色の校舎がお出迎え

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第一目的地は、今や西粟倉のシンボルと言っても過言ではない、森の学校。
廃校の小学校利用したピンク色の建物が、迎えてくれます。

そういえば、ぼくの出身高校なぜか校舎の色もピンク色だったなぁ。
男子校だったのに。

 

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校舎の中に入ると、木のいい匂いがモワモワっと香ってきます。
木造校舎ってええのぅ。

 

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それぞれの教室がベンチャーの活動拠点となっているっぽい。

 

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立てかけられたサイン色紙。読めん。

かろうじてapbankという文字は読み取れました。何かとお騒がせのappbankではなさそう。

 

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教室内の雰囲気は まさに森の学校 という感じ。

ここで、西粟倉で起こっていることの全体概要を
・森の学校 代表の 牧大介さん
・西粟倉のホストこと 井上さん(役場職員)
・ノマド夫婦 ナガイさん(林野庁より出向)
より伺います。

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(出典:ソトコト / 木育ラボ

 

リスクを集中させることで事業が産まれやすくなる

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西粟倉ローカルベンチャーの主力は、木材加工なのですが
そのためには材料である木の確保が重要。

 

しかし良質な木材はすぐに確保できるものではありません。
間引き 枝の剪定 など長年の絶え間ない管理があってはじめて
太くまっすぐで加工しやすい木材が成長するからです。

 

西粟倉の森林所有者は約1,300人(うち4割が村外居住者)なのですが
それぞれ管理の程度がバラバラ。これでは品質の安定した原木供給ができません。

所有と経営が分離していないがために
所有者の意欲に左右されてしまうわけです。

これは商店街衰退の構造にも通じるところがあります。
(店主が高齢化して店を畳んだけど、住居が引続きそこに存在するため、資産が有効活用できない)

 

そこで産まれたのが下記のスキーム(大体合ってると思うw)


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(独自解釈により筆者作成)

①西粟倉村が、所有者達から森林を 委託 という形で集約。(現在契約率約40%)

②日々の管理は、森林組合に委託し、都度費用を支払い。

③森の学校製造所が、木材の1次加工を担当。村内木材ベンチャー や 建材屋に販売

④そこで発生した収益は、森林所有者と西粟倉村で折半。


ポイントは、在庫資金調達設備投資といった事業リスクの大部分
西粟倉村や、森の学校製造所がとっているということ。

(例えば、自治体って銀行からみると倒産リスクが限りなく0。民間よりかなり有利な利率で借り入れができます。
であれば資金調達窓口を自治体に集約させたほうがお得)

 

 

○森林所有者としては、自分の手間をかけることなく森林が管理される上に収益を得られ
○村内ベンチャーとしては、大きな設備投資や在庫リスクを背負うことなく、事業をスタートできるわけです。

 


(出典:蝶の観察記録その2

それは、大樹のもとで、ニョキニョキと成長しているキノコを見るよう。

 

牧さんいわく、6次産業化のために、小さな事業をたくさんつくるにあたっては

・どこかが大きなリスクを背負う。
・入口・出口(原材料調達・販売)を押さえる。

ことが重要とのこと。

 

西粟倉で多くのローカルベンチャーが立ち上がっているのは
骨太て緻密な設計思想が根底にあるからだと感じました。

 

しかし土地の所有者1,300人を相手に交渉しまくっているナガイさん、タフ過ぎる!

 

 

林業以外の事業育成

一方で森の学校は木材加工・林業以外に食の分野もカバーしています。

(出典:難波亭

 

それは、
家具は1度買ったら終わりだけど、食には繰り返しがあり、人の誘因する力があるから。

実際にLINEの役員や はてなの会長さんが訪れているんだとか。

 

美味しいものを食べれば、人は喜ぶ。そして地域のことも好きになり
林業のビジネス展開にも恩恵がある。

 

まさに多様性は力。

 

あと余談ですが、牧さんはナマズの養殖に乗り出そうとしているそうです。


(出典:ホンダ釣りクラブ

・ナマズは700gのエサがあれば 500gに成長できる効率よい動物性蛋白質
・木材加工で出てくる大量の木くずでカブトムシの幼虫を養殖
・カブトムシの幼虫をエサに、ナマズを養殖する
・ナマズ料理を村内で提供する(ウナギに似た味がするらしい)

 

この人の頭のなか一体どうなってるんだろ!?

 

 

植林+植人づくり

このように牧さんを筆頭に、いろんなエッジの効いた人がいるっぽい西粟倉ですが
人材に関して一格言が。それは

資源は人によって発見されるということ。

地域資源は大体どこも同じ。重要なのはどのような切り口で切り出せるか。
だから地元の人で資源を探すよりも、人を探すべきである。

 

裏を返すと自治体側の受け入れる度量次第。
いいなりになってくれて扱いやすい人を募集するのではなく
進んで異端者を受け入れることができるかで、結果は大きく変わるのでしょう。

 

2ch 地域おこし協力隊」で調べると雑用で終わっちゃうケースが多くて泣けてきます。

 

 

平均以上の資源を3つ組み合わせるといいポジションが取れる

 

木材 × 屋外耐久加工技術 × 保育 = 木製保育遊具

 

(出典:ニシアワー

 

西粟倉でとれる木材は飛び抜けた特徴があるわけではありません
しかし単体では差別化が難しい資源であっても、

+木材に屋外耐久性を付加できる技術を持つ人
+保育市場

という要素を付加することで
木製の保育遊具という 他社が安易に参入できないポジションを得ることができました。

 

この考え方、地域に入った時に持っておくと、大きな広がりをつくれそうです。

 

 

ちゅうか西粟倉村役場自体がベンチャー規模

ふと聴いていて思ったのですが、人口1,500人の西粟倉村。
役場の職員は何人で運営されているのか気になったので聞いてみたら

37人!

とのこと。率直に言って少なっ!て思いました。

そりゃあ役場自体がこんなサイズ感ですからね。(出典:wikipedia
中小企業の社屋のような雰囲気です。

 

けど、役場の人の少なさこそが、西粟倉のパワーなんじゃないかと。

・少人数な分、1人1人の意識が高い。
・村長はほとんど提案を受け入れる。てか中身見てないw
・できないことはどんどん民間に任せる

 

小規模体制から生み出される 思い切った割り切りと、士気の高さ、そして決裁の早さこそが
西粟倉村の強みの源泉なんじゃないかなと思いました。

 

ちなみに、牧さんは元々トヨタ自動車から1億円の仕事を引っ張ってくるほどの凄腕コンサルだったのですが
単価は安いけど、出した提案がどんどん採用され、実行される西粟倉村の方に面白みを感じちゃって
いつのまにか居着いちゃったそうです。

 

 

森の学校製造所の加工場

休日で稼働していませんでしたが、加工場も案内していただいたのでご紹介。

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こちらが原木の保管スペース。ここでしばらく乾燥させるそうです。

 

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木材の加工マシン。巨大すぎてイメージがつかない・・・。

 

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加工木材の保管スペース。てか天井がスーパー高い。寒い。
元々は、写真のアルバムで有名なナカバヤシの工場だったそうです。

フィルムカメラからデジカメやスマホにシフトして、写真をアルバムで保管する需要がすくなくなったのかしら。

 

 

その後はお風呂に入り、地場産の料理を食べ、酒盛りをして1日目が終了。
次回は、ニョキニョキと生まれ出る各ローカルベンチャーを訪ねます。
1/26追記 各ベンチャー訪問レポ
https://make-from-scratch.com/archives/local-venture-school-4-2.html

 

 

今日の一句

”少なさを 強さに変える ニシアワー”

 

 
▼詳細まとめられています。 

 

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